「地方ローカル・スペースコレクションと文化行政」のなかで私は初めて「行政の文化化」という考え方を打ち出しました。
そこでは自治行政と住民の関係について基本的ではないかと考えられることを述べたつもりでしたが、この報告書はもう入手がむずかしいので、その箇所を以下に再録させていただくことにします。
文化行政への視点ー行政の文化化
地方ローカル・スペースコレクションと文化行政と文化行政について考えてみるならば、「文化」と「行政」の関連を論理づけ、それをローカル・スペースコレクションと文化行政の活動として定着させる方途をさぐり出すことが必要でしょう。
以下、若干の手がかりを概観してみることにしたいと思います。
人間をかりに生物学的な「個体」のレベル、社会を形成する単位としての「個人」のレベル、精神生活を営む「単独者」のレベルに分けて捉えるならばへ「文化」の問題は、それぞれのレベルにどのようにかかわっているだろうか。
「個人」には、例えば、他人が飯を食ったからといって自分の腹はふくれず、他人の痛みも自分の痛みと同じようには感じないという独自性がある。
しかしこの独自性に固執していれば個体維持の質的水準は向上しないから、他人との協力関係を形成して物質的価値を生産しなければなりません。
生活を豊かにするための組織的協力が必要です。
しかし、そこには、すでにある行動に意味を付与し、その意味をなんらかの形で共有することが前提となっています。
しかも、他人といっしょになにかをするためには他人との間に精神的な交流が必要です。
つまり精神的な「意味の世界」を共有しなければなりません。
それとともに、例えば、他人が飯を食ってもこちらの腹はふくれないことは事実だが、他人が飯を食って自分は別に腹はふくれないが満足することができるようになります。
そこに意味を発見するからです。
こうして、人間の社会生活は意味を共有することで成り立っているといえます。